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園田賢は本当に不運なのか?

「裏3が乗らない男」と呼ばれた園田賢。通算の運はリーグ9位と恵まれている一方、裏3ゼロは240回に1回の珍しさでした。不運のイメージがどこで作られたのかを牌譜で読みます。

「裏3が乗らない男」。

赤坂ドリブンズの園田賢選手には、長くそんな呼び名がついて回りました。リーチして和了っても、裏ドラが3枚乗ることがない。2022年10月には、目の前で相手に裏3の跳満を和了られ、本人が「5年目で1回もないんですけど」と嘆いた場面が話題になりました。

もう1つ、園田選手を象徴する言葉があります。「なんなん?」。大敗した夜に本人がXに投稿した一言が、いつしかファンの間で定番のフレーズになりました。2023年にはNHKのドキュメンタリーが「運命との闘牌」と題して、園田選手のシーズン最終日を追っています。

園田選手は本当に不運なのでしょうか。牌譜で確かめてみます。

通算では、むしろ恵まれている

このサイトでは、配牌、ツモ、裏ドラ、一発などの運を局ごとに数え、ポイントに換算しています(計算方法)。

園田選手の運による獲得ポイントは、1半荘あたり+1.8pt。通算40半荘以上に出場した49選手の中で9位です。通算で見ると、園田選手は不運どころか、恵まれている側の選手でした。

1半荘あたりポイント 49人中
実績 +3.6pt 3位
運による獲得ポイント +1.8pt 9位
運を除いた推定 +0.9pt 13位

「裏3が乗らない」は本当だった

それでも、あの呼び名は根拠のない話ではありませんでした。

リーグ全体では、リーチして和了ったときに裏ドラが3枚以上乗るのは約2.2%、45回に1回ほどです。園田選手は最初の6シーズン(2018-19〜2023-24)で、リーチで244回和了りました。平均的な運なら5回ほど裏3が乗っていたはずですが、実際は0回でした。

244回続けて裏3が乗らない確率は、約0.4%(240回に1回)です。「5年目で1回もない」という嘆きは、数字の上でも珍しい出来事でした。

流れが変わったのは7年目です。2025年1月21日、園田選手にMリーグで初めての裏3が乗りました。この日の試合は、園田選手の全286半荘の中で最も運に恵まれた試合(運による獲得ポイント+79.7pt)でもありました。2024-25シーズン以降は、リーチでの和了約100回で裏3が5回。平均なら2回ほどなので、今度は倍以上乗っています。

シーズンリーチでの和了裏3以上 1回あたりの裏ドラ同(期待値)
2018-19 39 0 0.38 0.42
2019-20 31 0 0.16 0.39
2020-21 35 0 0.43 0.43
2021-22 37 0 0.24 0.37
2022-23 42 0 0.36 0.39
2023-24 60 0 0.57 0.40
2024-25 45 3 0.42 0.41
2025-26 55 2 0.45 0.44

期待値は、その局で見えていなかった牌から計算した、裏ドラが乗る枚数の見込みです。裏ドラの乗りそのものは、2019-20と2021-22に大きく下回った以外、ほぼ期待どおりでした。「裏3ゼロ」は、裏ドラ全体の不運というより、3枚という大当たりだけが来なかった偏りです。

「なんなん?」の夜は、本当に不運だった

「なんなん?」が生まれたとされるのは、2021年2月18日の第2回戦です。佐々木寿人選手が親番でダブ東を暗槓し、新ドラが3枚乗って嶺上ツモ。Mリーグ史上初の13翻、三倍満の12,000オールでした。佐々木選手はそのまま94,000点まで伸ばし、園田選手は−7,700点のラスに沈みました。

この試合の園田選手の運による獲得ポイントは−43.8pt。全286半荘の中で16番目に悪い試合です。「なんなん?」は、実際に運に見放された夜の言葉でした。

同じ言葉の投稿は2020年12月18日にもあったとされ、この日の試合は運による獲得ポイントが−54.8pt。園田選手の全試合で3番目に運の悪い試合です。2021年10月28日に「この負け方なんなん?」と語ってラスを振り返った試合も、運は−34.8ptでした。「なんなん?」が出る夜は、数字で見ても不運な夜です。

不運だった時期と、そうでない時期

シーズンごとに見ると、「不運」のイメージがどこで作られたかが見えてきます。

シーズン実績運を除く運
2018-19 +5.8 +2.7 +3.1
2019-20 −14.0 −11.2 −2.8
2020-21 −2.5 +4.5 −7.0
2021-22 −2.1 −1.6 −0.5
2022-23 +7.5 +5.3 +2.2
2023-24 +12.0 +6.8 +5.2
2024-25 +9.7 +5.4 +4.3
2025-26 +5.9 −1.0 +6.9

1半荘あたりのポイント。セミファイナル・ファイナルを含みます。

2019-20から2021-22までの3シーズン、運はマイナスが続きました。特に2020-21は、運を除けば+4.5ptの内容だったのに、運で7.0pt失っています。この年はセミファイナルとファイナルの9半荘だけで、運が1半荘あたり約−12pt。ファイナルの4半荘で−116.6ptを喫しました。「なんなん?」が生まれたのも、このシーズンです。

さらに遡れば、Mリーグ初年度の2019年2月7日には、滝沢和典選手の大三元に放銃しています。Mリーグ史上2回目の役満でした。ドリブンズは2021-22、2022-23と2年続けてレギュラーシーズン7位で敗退しています。「裏3ゼロ」が続いたのも、ちょうどこの時期です。

一方、2022-23以降、園田選手の運は4シーズン続けてプラスです。2024-25シーズンは、レギュラーシーズンを+398.6ptで終えました。

最後の1局は、運のせいではない

その2024-25シーズン、ドリブンズはファイナル最終戦までもつれ込みました。2025年5月16日、南4局3本場。園田選手は2,700点のツモか3,900点の出和了りで優勝という条件で、リーチをかけます。しかし、醍醐大選手への2,600点の放銃で決着し、優勝はセガサミーフェニックス。ドリブンズは3位に終わりました。

劇的な幕切れでしたが、この試合の園田選手の運は+42.1ptと、むしろ大きく恵まれていました。ファイナル全5半荘で見ても、運は合わせて−4.9ptと、ほぼ平均です。最後の1局は悲劇でしたが、運に見放されたシリーズではありませんでした。

変わらない不運:配牌

ただし、1つだけ一貫して恵まれていないものがあります。配牌です。

配牌の向聴数の良さは、49人中46位。8シーズンのうち7シーズンで平均以下でした(平均を上回ったのは2021-22だけ)。園田選手は、スタートの手がほかの選手より悪い局が多いのです。

これを補っているのが、鳴きです。園田選手の副露率は33.0%で、49人中1位。和了率21.6%(4位)という数字は、配牌の不利を、鳴いて和了りに結びつける打ち方で取り返している姿にも見えます。

鳴きの多さは、裏ドラの話にもつながります。鳴いた和了では裏ドラを見ることがないので、リーチでの和了は1半荘あたり1.22回と、49人中31位。「すぐ鳴くから裏3がないんや」という視聴者の声は、回数の少なさについては当たっています。ただし、上の0.4%はリーチで和了った回数あたりで計算しているので、鳴きの多さでは説明できません。

結論:不運の「記憶」が強い選手

園田選手は本当に不運なのか。答えは、通算では不運ではない。ただし、不運が目立つ形で集中した、です。

不運は、平均すると目立ちません。記憶に残るのは、三倍満の12,000オール、大三元への放銃、何年も乗らない裏3、ファイナルのオーラスのような、分かりやすい場面です。園田選手の「不運」は、数字全体よりも、そうした場面の記憶で作られたイメージだと言えそうです。


方法と注意

参考

このコラムに登場する選手:園田賢