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雷電の麻雀は面白いのか?(日文)

「雷電の麻雀は面白いんです!」。その言葉を、試合展開の驚きと和了の大きさから、牌譜で大真面目に確かめます。

雷電の麻雀は面白いのか?「面白いんです」をMリーグの牌譜で検証 | M數據研究所

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雷電の麻雀は面白いのか?

「雷電の麻雀は面白いんです!」。その言葉を、試合展開の驚きと和了の大きさから、牌譜で大真面目に確かめます。

「雷電の麻雀は?」「面白いんです!」

TEAM RAIDEN / 雷電の選手がトップを取ると、勝利者インタビューはこのコール&レスポンスで締めくくられます。ファンの間では「RMO」と略されるほど定着したフレーズです。

では、雷電の麻雀は本当に面白いのでしょうか。そもそも「面白い」とは何でしょうか。大真面目に、牌譜のデータで考えてみます。

「雷電の麻雀は面白いんです」とは

フレーズの主は萩原聖人選手です。

Mリーグ初年度の2018年12月7日、萩原選手は50日ぶりのトップでプロ2勝目を挙げました。「ここまでトップを取れなかったのは麻雀人生で初めて」と語るほど苦しんだ末の勝利で、インタビューは「雷電の麻雀は面白いんです!」の絶叫で締めくくられました(ABEMA TIMES)。以来、この言葉は勝利者インタビューの締めくくりとして定着し、チームのキャッチフレーズになっています。

チームは「魅せる麻雀」「おもしろい麻雀」を掲げてきました。効率だけを追うのではなく、打ち手の信念が見える麻雀、という意味合いで語られることが多い言葉です。

メンバーは、発足時からの萩原聖人・瀬戸熊直樹・黒沢咲の3選手と、2021-22シーズンに加入した本田朋広選手。2026-27シーズンもこの4人で戦っています。

「面白い」をどう測るか

面白さそのものは測れません。キャラクター、実況、所作、チームの物語。どれも数字にはなりません。

ただ、「試合展開の面白さ」には経済学の定義があります。Ely, Frankel & Kamenica(2015)は、観戦の面白さを次の2つに分けました。

  • サスペンス:これから何が起きるか分からない緊張感
  • サプライズ:見ていた予想がひっくり返った量

このサイトは、1局ごとに各選手の「トップになる確率」を計算しています。そこで、1局の間に4人のトップ確率がどれだけ動いたかを「サプライズ」として数えます。1半荘で合計すると、平均で約150ポイント(トップ確率の動きの合計)になります。

これに加えて、見た目の派手さとして次の2つも数えました。

  • 満貫以上の和了の数
  • 逆転トップの数(後半にトップ確率が10%以下まで落ちてからのトップ)

測ってみた

雷電の4選手が出場した半荘(904半荘)と、それ以外の選手を比べました。

1半荘あたり雷電その他差(90%区間)
和了の回数 2.32 2.45 −0.13(−0.21〜−0.04)
満貫以上の和了 1.10 1.05 +0.05(+0.00〜+0.11)
和了のうち満貫以上の割合 47.4% 42.6% +4.8ポイント(+2.7〜+6.5)
跳満以上の和了 0.30 0.29 +0.01(−0.01〜+0.05)
自分の和了で動かしたトップ確率 29.0 30.1 −1.1(−2.5〜+0.5)
逆転トップ 4.1% 3.8% +0.3(−0.8〜+1.6)

試合全体のサプライズ(4人分の合計)は、雷電の選手がいる試合で約154ポイント、いない試合で約150ポイント。差は約2%で、局数をそろえると区別できません。

派手さは本物

はっきり出た差は1つだけです。雷電の和了は、満貫以上の割合が高い。

和了のほぼ半分(47.4%)が満貫以上で、ほかの選手(42.6%)を5ポイント近く上回ります。通算40半荘以上の49選手の中で、この割合は黒沢選手が3位、瀬戸熊選手が5位、萩原選手が6位です。

打ち方のデータも同じ方向を指しています。雷電の4選手が鳴いた局は16.5%で、ほかの選手(23.7%)よりはっきり少なく、リーチは23.5%とやや多め。門前で手を育て、リーチで高い手に仕上げる。「雷電らしい」と言われる麻雀は、牌譜の上でも確かに存在します。

でも、試合の揺れ方は平均並み

一方で、和了の回数は1半荘あたり0.13回少なくなっています。大きく和了るけれど、和了る回数は少ない。この2つが打ち消し合って、自分の和了で動かしたトップ確率は、ほかの選手とほとんど変わりません。

試合全体のサプライズも、逆転トップの数も、はっきりした差にはなりませんでした。「雷電がいると試合がひっくり返りやすい」とは、少なくともスコアの動きからは言えません。

選手ごとに見ると

選手満貫以上の割合逆転トップ自分の和了で動かしたトップ確率
黒沢咲 3位 5位 38位
瀬戸熊直樹 5位 15位 29位
萩原聖人 6位 39位 41位
本田朋広 31位 32位 13位

通算40半荘以上の49選手中の順位。

  • 黒沢選手:高打点と逆転トップの両方で上位にいて、「魅せる」を数字でもいちばん体現しています
  • 本田選手:チームの中では毛色が違い、和了の回数でトップ確率を動かすタイプです。牌効率一致率は49人中1位でした
  • 萩原選手:高打点の割合は上位ですが、和了が少ない分、試合を動かす量は下位にとどまります

面白いとは何か

この物差しで測れたのは、「スコアボード上の驚き」だけです。その意味では、雷電の麻雀は平均並みに面白い、というのが答えになります。

ただし、面白さはスコアの動きだけではありません。同じ8000点の動きでも、鳴いて作った2000点を4回和了るのと、門前で育てた満貫を1回和了るのとでは、見ている側の感じ方が違います。雷電が「面白い」と言うとき、指しているのは後者の、どう和了るかの面白さではないでしょうか。

データが裏付けたのは、まさにそこでした。雷電の和了は、ほかのチームより「大きい」。サプライズの量ではなく、一撃の質で見せる麻雀です。

「雷電の麻雀は面白いんです」。少なくとも、満貫以上の割合という物差しでは、その言葉に偽りはありません。


方法と注意

  • 数字は2018-19シーズン以降の牌譜(約1,900半荘)から集計しています。
  • トップ確率は、このサイトの勝率モデル(各局終了時点の点数状況から、最終的にトップになる確率を推定)による値です。
  • サプライズは、各局の前後でのトップ確率の変化量(4人分の絶対値の合計の半分)を半荘で合計したもので、Ely, Frankel & Kamenica(2015)の「サプライズ」を麻雀に当てはめた簡易版です。サスペンス(次の局で起こりうる変化の大きさ)は今回は測っていません。
  • 90%区間は、試合単位で抜き直して(ブートストラップ)計算しています。
  • 雷電とその他の比較は選手単位の平均の差で、対戦相手や卓の組み合わせはそろえていません。
  • 実況、選手のキャラクター、チームの物語など、面白さの大部分はこの分析の外にあります。

参考

このコラムに登場する選手:萩原聖人、瀬戸熊直樹、黒沢咲、本田朋広

このコラムに登場する選手:萩原聖人、瀬戸熊直樹、黒沢咲、本田朋広