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天鳳位の麻雀は何が違うのか?(日文)

Mリーグの天鳳位経験者、渡辺太と朝倉康心。27の指標で比べると、2人に共通していたのは「速さ」でした。

天鳳位の麻雀は何が違う?渡辺太と朝倉康心をMリーグのデータで比較 | M數據研究所

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天鳳位の麻雀は何が違うのか?

Mリーグの天鳳位経験者、渡辺太と朝倉康心。27の指標で比べると、2人に共通していたのは「速さ」でした。

オンライン麻雀「天鳳」の最高位、天鳳位。四人打ちで到達したのは、のべ30人ほどしかいません。Mリーグでは、渡辺太選手(5代目・16代目)と朝倉康心選手(初代・11代目)の2人が天鳳位経験者として知られています。

ネット麻雀の頂点を極めた2人の麻雀は、ほかのMリーガーと何か違うのでしょうか。

27の指標で比べる

このサイトが計算している打ち方・成績・運の指標に、今回のために作った指標を3つ加えました(3つとも、いまは選手ページにも載っています)。

  • 聴牌の速さ:鳴かなかった局で、何巡目に聴牌したか。配牌の向聴数とツモの良し悪しをそろえて比べます
  • 即リーチ率:12巡目までに聴牌したとき、その場でリーチした割合
  • ダマ率:同じく、聴牌してもリーチしなかった割合

そのうえで、「2人がそろって同じ方向に偏っている指標」を探しました。27の指標を調べれば、偶然でも2人がそろう指標はいくつか出てきます。以下の共通点は、その中で目立ったものです(どこまで偶然で説明できるかは、最後の「方法と注意」に書きました)。

共通点その1:聴牌したら、すぐリーチ

いちばんはっきりしていたのは即リーチ率です。

選手即リーチ率同じシーズンのほかの選手差
渡辺太 85.7% 74.6% +11.2ポイント
朝倉康心 77.9% 67.1% +11.0ポイント

シーズンごとのリーグ平均との差で並べると、49人中で朝倉選手が2位、渡辺選手が3位です。1位は佐々木寿人選手でした。

ここで注意が要るのは、即リーチ率がリーグ全体で年々上がっている点です。

シーズン 2018-19 2020-21 2022-23 2024-25 2026-27
リーグの即リーチ率 66.6% 67.4% 71.3% 75.3% 77.6%

2人は出場した時期が違います(朝倉選手は2018-19〜2021-22に出場し、2026-27に復帰。渡辺選手は2023-24以降)。そこで、同じシーズンのほかの選手と比べました。それでも2人とも約11ポイント高く、偶然ではまず出ない差です(どちらも聴牌した局が約290局あり、偶然の揺れは±3ポイント程度)。

リーグの即リーチ率は、この8年で11ポイント上がりました。2人の差は、リーグが8年かけて動いた幅とほぼ同じ大きさです。

共通点その2:聴牌が早い

配牌の向聴数とツモの良し悪しをそろえても、2人は聴牌が早い傾向がありました。リーグ平均より、渡辺選手は約0.3巡、朝倉選手は約0.2巡早く聴牌しています。49人中、渡辺選手は2番目、朝倉選手は6番目の速さです。

聴牌の速さは、牌効率一致率(受け入れ枚数が最大になる牌を切った割合)とはっきり相関しています(49選手で相関−0.48。巡目が小さいほど速いので、負の相関は「一致率が高いほど速い」を意味します)。渡辺選手の牌効率一致率は75.7%で49人中5位。朝倉選手は73.1%で19位と、平均をやや上回る程度です。

違わなかったこと

逆に、2人の共通点とは言えなかったものも書いておきます。

  • 成績:運を除いた推定では、渡辺選手が1半荘あたり+1.5pt(49人中4位)、朝倉選手が+1.1pt(9位)。2人とも上位ですが、90%区間はどちらも0をまたいでいて、平均との差は運の幅に収まります
  • 放銃率:朝倉選手は低い方から3番目ですが、渡辺選手は平均並みです
  • 副露率:渡辺選手は多い方から3位ですが、朝倉選手は13位で、2人そろっての偏りとまでは言えません
  • 打点:2人とも平均よりやや低めで、はっきりした差ではありません

ちなみに朝倉選手は、運による獲得ポイントが49人中48位。このサイトで測れる運(配牌・ツモ・裏ドラ・一発)では、魚谷侑未選手に次いで不利だった選手です(魚谷侑未は強いのか?)。

即リーチは得なのか

リーグ全体で見ると、即リーチ率が高い選手ほど、運を除いた成績が良い傾向があります(49選手で相関0.26)。

ただし、これは多くの組み合わせを調べた中の1つで、偶然でも出る程度の強さです。「即リーチは得」とまでは言えません。リーグ全体が即リーチの方向に動いてきたことと合わせて、今後も見ていきたい点です。

まとめ

天鳳位の2人に共通していたのは、次の2点です。ただし、27の指標から選んだ共通点なので、指標の数を考えると、どちらも偶然とは言い切れません。

  • 聴牌したら、その場でリーチする(どちらもその時々のリーグより約11ポイント高い)
  • 配牌やツモの良し悪しをそろえても、聴牌そのものが早い

どちらも「速さ」の特徴です。一方、成績、放銃、打点には共通の偏りは見つかりませんでした。

ネット麻雀の強者の麻雀は、「何をするか」よりも「迷わず早く決める」ところに表れている、と言えるかもしれません。そしてリーグ全体は、この8年で少しずつ2人の方へ近づいてきました。


方法と注意

  • 数字は2018-19シーズン以降の牌譜から集計しています。比較の相手は、通算40半荘以上に出場した49選手です。
  • 2人しかいません。これは「天鳳位の2人に何が共通しているか」の分析で、「ネット麻雀出身者は即リーチが多い」といった一般化はできません。
  • 偶然の可能性:27の指標を調べれば、2人がたまたまそろって偏る指標がいくつか出ます。49人から2人を無作為に選んだときと比べると、即リーチ率と聴牌の速さは約2〜3%の確率でしか出ない偏りですが、調べた指標の数で補正すると、1つずつでは統計的に有意とは言えません。一方、2人それぞれの即リーチ率の差(約11ポイント)は、選手単位で見れば偶然の揺れ(±3ポイント程度)を大きく超えています。
  • 聴牌の速さは鳴かなかった局だけで比べています。鳴きの多い選手は門前の局の性質が違う可能性があり、副露率とも相関しています(相関−0.44)。
  • 即リーチ率は「12巡目までに聴牌した局のうち、聴牌した打牌でリーチした割合」です。待ちの良し悪しや点数状況はそろえていません。表の値はその選手が出場したシーズンの生の割合です。選手ページの即リーチ率は、リーグ全体の上昇をならして今のリーグ水準に合わせた値なので、表の値とは異なります。
  • 個々の数字は渡辺太選手・朝倉康心選手のページでも確かめられます。

参考

このコラムに登場する選手:渡辺太、朝倉康心

このコラムに登場する選手:渡辺太、朝倉康心